この人はわがままだ。
自分の意見しか押し通そうとしないし、やりたいことしかしない。
だから、だったら一生そうしていればいいと思った。やりたいことしかせずに、全て傍観を決め込んで高みの見物をしていればいい。加わりつつも客観的な意見で自分を包んで守っているんでしょう? 仲間といつつも、裏切る準備も助ける準備もしているんでしょう。曖昧で不確かな位置に満足している、それがあなた。獣にも鳥にもなれなかったコウモリは、きっとあなたのようなものだったんでしょうね。けれど違うのは、コウモリはどちらにも属さなかったわけではなく、属せなかったの。自分で決めたわけではなく、生まれる前から決まっていたのよ。あなたみたいに自分から進んでそんな道を選らんだわけじゃないの。だから勘違いしないで。あなたはコウモリのようであって、そうじゃない。曖昧で不確かで、傲慢で偏屈で、自分の取り巻く状況を楽しんでいるくせに全部を投げ捨てることも簡単に出来てしまうあなたを表す言葉なんて、この世には存在しないのよ。 あぁ、やっぱりあなたは一生そうしていればいいわ。
「
」
呼ばないで。呼ばないで。呼ばないで!! わたしの嫌いなものを教えてあげましょうか。それはね、不確実であることよ。不確かであり、約束は守られず、安心できない…………それってそういう言葉なの。 …………ねぇ、知っていた? あなたは全部に当てはまっているのよ。オールクリア。笑っちゃうわ。
「
」
世界を見捨てることが出来るあなたが、わたしを見捨てない保障などないでしょう。 言って御覧なさいよ。どこがいいの。わたしには何の価値もない。 希少性などないの。普通よ。一般的よ。むしろ平均以下だわ。それなのに。
「いい加減にしろよ」
命令しないで。そういうところが嫌いなの。 まるで自分には操れないものがないって顔をして、当然のように大切なものを蹂躙していく。わたしがあなたのことを、憎らしいと思わなかったことがないと思うの? 大嫌いよ。あなたなんか。
「…………じゃあ、逃げろよ。行動が伴ってねぇぜぇ」
クルルが、肩から力を抜くようにため息をつく。わたしはそこでようやく笑った。
あなたの腕の中でこれだけ毒の吐ける女だからこそ、今まで一緒にいれたんでしょう。 これからも、飽きるまでは放りださないでね。コウモリさん。
「飽きねぇよ。だから黙って抱かれとけ」
守れない約束はしないことよ。 わたしは純粋だから信じてしまうの。それに嫉妬深いから、夜道は気をつけてね。 あぁ、あなたはコウモリじゃないから夜に出歩くことなんかないか…………。うわ!
強がって続けた言葉は、彼の乱暴なキスに奪われた。
瞳を閉じて、彼に主導権を渡して、甘い夢の淵で少し後悔をする。
あぁ、最後に好きって言っとけばよかったなぁ。
(06.03.11) ツンデレな彼女。そーゆー女の子って可愛いです。
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