彼女にハマったのはいつからだったのかなんて忘れてしまった。でも定期的に行き来して、お互いの感情もなんとなく理解して、触れ合って笑って、それで照れくさくなったりしたなら、状況は変わるはずじゃないのだろうか。状況、というのは適切ではないかもしれない。我輩が言いたいのはただ一つ、彼女が会うたびに「あら、来たの?驚いた」と言うことだ。これを言われるとまるで浮気をしている夫のような気分になる。明日のことを約束できないような不出来な男に成り下がったようで面白くない。


「あら、そんなことを思っていたの。ごめんなさい。でもその通りでしょ?」


艶やかな唇を我輩に押し当てて、彼女は遊女のように笑った。


「だってケロロは明日の約束をくれないじゃない。だからわたしは別れるたびに、もう二度と会えない覚悟をしてるのよ」


――――――――― は、なんと強いのだろう。

 

 

 

 

 

 

疾うに覚悟は出来ていた

(06・07・31)